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第2回 溶接ロボットシステムver.1開発!


受賞案件:若手社員が業界の非常識に挑戦し実現した革新的な溶接ロボットシステム”とは?

優秀賞を受賞した溶接ロボットシステムは、冶具の簡易化と溶接ロボットのフレキシブルマニュファクチャリングシステム(以下FMS化)の2つによって構成される。

@冶具の簡易化:部品の接合部にホゾやリベット等を使用し、可能な限り溶接せずにコンプリート化する。そして、仮付け溶接冶具の廃止と共に本溶接の冶具のクランプ数を大幅に削減する。結果、溶接冶具の簡易化と軽量化に成功した。これにより冶具数を1/4、冶具費を1/2、冶具製作時間を1/3に削減した。

A溶接ロボットのFMS化:当時は溶接ロボット業界では、「技術的に不可能」と言われていた。これは、ロボットには個体誤差があり、すべてのロボットが全く同一のプログラムで溶接作業をさせる事は不可能であると云われていたためである。しかし、この困難を乗り越え、生産に必要な溶接ロボットの台数を1/4に減少、設備投資費を1/2に低減した。
この2つにより効率的な多品種少量生産を実現することに成功した。

 

  

 

FMS化 ver.1への道

 1999年、フジイコーポレーション鰍ナは、少量多品種の生産体制に生産システムも変わっていった。つまり「1台セット流し混流生産」の方式に変わったのである。

部品の供給エリア、塗装エリア、組立エリアは着々と準備が整った。しかし、溶接エリアにおいては従来の量産向きのやり方からなかなか変えられずにいた。このままいけば、多品種少量になってきている中で重くてかさばる冶具は増え続ける。そして溶接工程の「1台セット流し」のシステムが完成しなければ、ほかの工程にも支障をきたすのは、明らかだった。

 その状況の中、財団法人にいがた産業創造機構より「ゆめ・わざ・ものづくり」支援助成金を受け、当時商品グループに所属していた大島・平田・宮嶋が溶接部門の改善に乗り出した。しかし、期間は1年間。

1年間で実用化への 結果を出さなければならなかった。

 まずは、溶接ロボット、治具を見直す必要があった。冶具は重いもの、1つのロボットには決まった部品しか流せない。これが当時の一般的な考えだった。この考えを打ち破るために、冶具の簡易化とロボットのFMS化に挑戦した。

 冶具の簡易化は、可能な限りリベット止め、ホゾ組等を使用し、冶具を軽くした。また冶具自体の構造を変えるとともに、溶接の順番を変更し、溶接のひずみを軽減させた。これには、ベテランの力が必要だった。最終的に溶接のひずみを抑えたのは、多くの経験を積んだ現場のベテランの知恵だった。

 

 

 ロボットのFMS化については、多くのロボットメーカーに打診した中、川崎重工様のみが引き受けてくれた。

しかし、実際の作業が始まると従来のやり方と違うので意見がかみ合わなかったため、それを一つ一つお互いに理解しあう努力が必要だった。
一年という期間はあっという間に過ぎて行った。
最後は成果をだして報告しなければならないという時間のせめぎあいもあり、青い顔して夜遅くまで非常に苦労していた時期もあった。

 

 しかし、ロボットメーカーの協力や他の社員達からの協力を得、なんとか1年で溶接の治具台車の軽量及び簡易化、そしてFMSシステムを確立するに至った。

 軽くなった冶具と個体誤差をなくしたロボットシステムにより、台車に乗せ人力で動かせるようになった冶具は、3台ある溶接ロボットのどれにいれても同じ溶接が可能になった。また溶接冶具が軽くなったため、360°回転しながら上下左右様々な角度から溶接できるようになった。

これがフェーズ1である。

 

そして、フェーズ1で完成した溶接システムは、本来であれば破棄しなければいけなかったが、新潟県のご厚意により、実際の生産システムとして利用させていただき、システムの中核を担うようになった。その後、多くの改善を経ながら多品種少量生産の中核を担うようになった。
またこれらが、フェーズ2につながり、「ものづくり日本大賞」への道を開くことになった。

 

                      

 

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