第二回 シェフとウィーン菓子

ヒロ クランツさん特集第二回目、今回はシェフの笹川裕人さんをご紹介します。



笹川さん

シェフ・笹川裕人さん。
2年の間、お菓子の本場・ヨーロッパで修業されました。


修行時代を振り返って、笹川さんはこうおっしゃいます。

「苦労はあったけど、目新しいし興味があることだから、苦しくはなかった。

違う文化っていうのはやっぱり面白いですね。考え方の差とか…

スイス・西ドイツ・オーストリアと、3つの国で学んだけど、どの国のお菓子もまったく違っていた」



 

ヒロクランツさん店内

ヨーロッパで感じたことは?

「向こうでは、お菓子というものが日本よりずっと生活に根付いている。
たとえば…日本では砂糖が料理に入るし、醤油にも砂糖が入ってるけど、向こうでは料理に砂糖を使わないから、食後に必ず甘いお菓子を食べる。そうすると、満腹感が得られるんだ。

私も向こうにいるときは毎食後にお菓子を食べてたね。
日本に帰ってきたらやらなくなったけど(笑)」

ヒロクランツさん店内


ヒロクランツさん店内

ヒロクランツさん店内

日本のお菓子と大きく違うヨーロッパのお菓子。
向こうのお菓子を紹介したい――そう話してくださった笹川さんの作るお菓子はウィーン菓子。

この日は、ウィーン伝統のお菓子・ザッハートルテをご馳走になりました。


ザッハートルテは、チョコレートたっぷりの、バターケーキにアンズジャムをサンドしたチョコレートケーキです。

見た目はかなり重そうな感じなのですが、

かかっているチョコレートがさっくりとして、意外なほど軽い口当たり。


笹川さんは、このザッハートルテにまつわる、こんなお話を聞かせてくれました。



ヒロクランツさん店内 オーストリアの旗 

ザッハートルテは、菓子職人のフランツ・ザッハーが作り、

彼の息子で「ザッハーホテル」を創設したエドヴァルト・ザッハーが、
宰相 メッテルニヒに献上したケーキであるとされています。


しかし、ザッハーホテルに嫁いできた女性の実家で、

王室御用達だったケーキ店「デメル」でもザッハートルテは作られており、

両家の間では「ザッハートルテ」の商標をめぐる裁判が起こされることとなります。


ザッハーホテルのザッハートルテと、デメルのザッハートルテ…
どちらがオリジナルのザッハートルテか?

この争いは、のちに「甘い七年戦争」と呼ばれるようになりました。

裁判の結果、ザッハーホテルのものが「オリジナルのザッハートルテ」と認定されますが、

デメルのものも「デメルのザッハートルテ」として、

現在も人々に愛されています。

 


「いいお菓子っていうのは、一度食べたら忘れられないもの。
そんな個性のあるものだと思う」と笹川さん。
ザッハートルテをめぐっての争いも、
商標だけでなく、そうした店や家の個性、伝統や、
そして誇りを守るためのものだったのだと思います。

身近なお菓子の背景にある沢山のドラマ。
ヒロ クランツさんのお菓子は、
どんな歴史を歩み、どんなドラマを描いているのでしょうか。



第三回は、サンタクッキーについてご紹介します!


ヒロクランツさん外観

ヒロ クランツ

住所:〒951-8104 新潟市中央区西大畑町615-17
TEL/FAX:025-225-1692 
営業時間:AM10:00〜PM7:00  定休日:毎週火曜日

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